教育施設、各種職場環境など多岐に活用される輪番式電源タップのPSE認証を実施

今回のお客様は、エレクトロニクスを核とした「技術商社」として、世界の先端商品をいち早く日本市場に紹介(販売)されている高千穂交易株式会社様(東証一部上場企業)です。

認証のご依頼を頂いた製品は「輪番式電源タップ」。当社ではこのタイプの製品のPSE認証(特定電気用品)は、過去にも行った経験がありました。

納期・販売のタイムリミットが明確に定められている状況の中、予定している製品リリース時期に間に合わせるため、海外の検査機関を使ってスピーディーに認証が行える当社のことをお知りになられ、ご連絡をいただきました。

当社もこれまでの経験を活かしながら、迅速に認証を進めさせて頂きましたが、途中幾度か難関があり、その度に技術力を用いたサービスを提供させていただき、何とか無事に期限までに認証を終えることが出来ました。

これから認証を検討される方に少しでもご参考になる部分があればと思い、記事を公開させていただきます。

ご依頼主様

高千穂交易株式会社
渡辺純一様

インタビュー:INSIGHT WORKS株式会社 堀

公式HP:https://www.takachiho-kk.co.jp/

(企業理念)
“技術商社として、「創造」を事業活動の原点に据え”
1. テクノロジーをとおして、お客様のご満足を高めます。
2. 技能と人間性を磨き、世界に通用する信用を築きます。
3. 力を合わせて、豊かな未来を拓き、社会に貢献します。

会社ホームページより引用

認証を実施した「タッチ画面付きAC充電輪番タイマーユニット」の概要

堀:認証の話をする前に、製品の概要について少し振り返りたいと思います。

堀:以前に、当社事例としても取り上げたことのある「輪番式電源タップ」は、複数の電源が時間差で自動的にON/OFF切り替わって電力供給コントロールを行い、切れ目なく安定的に各機器に電源供給を行える製品です。

渡辺様(以下、渡辺):後でもご説明しますが、実は、INSIGHT WORKSさんのその事例記事を拝見して、認証のお問い合わせをさせていただきました。

堀:高千穂交易株式会社様のホームページに製品概要が掲載されていますので、そちらを引用させていただきます。

タッチ画面付きAC充電輪番タイマーユニット
スケジュール・タイマー・1500WブレーカーなどGIGAスクール構想の仕様にも対応したタッチ画面付きのAC輪番充電ユニットです。
【製品特長】
・扱いやすい操作パネル
タッチ画面で簡単に充電スケジュール・タイマー設定ができ、複雑な操作はなく利用者にやさしい設計
・スケジュール・タイマー機能搭載
平日・土日一括設定モード搭載、月~日まで合計12通りの充電スケジュールを設定可能ができ、0~15分刻みで150分までタイマー時間/充電エリアの設定が可能
・電源タップ最大4ポート接続可能
当社11ポート給電タップとセット販売にも対応し、その場合最大44台のデバイスを充電

※写真は開発中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合があります。
引用:高千穂交易株式会社HP

堀:輪番式電源タップは、文部科学省が推進している「GIGAスクール構想」における、学校の授業で学生一人一人にタブレット・PCなどを付与するという取り組みなどに使われるのですよね。

渡辺:はい。当社の製品は、PC充電保管庫に搭載され使用されますが、利用者が扱いやすいように、タッチ画面機能を搭載し、使いやすさに配慮した設計となっています。また、学校などの教育施設以外にも、オフィスや生産工場などの各種職場環境での利用いただけることも想定し、輪番式電源タップに加えて、高機能のTYPE-Cの給電ユニットもラインナップし、様々な環境下で最適な製品をお客様に選択して頂けるようにしています。

堀:製品のご紹介ありがとうございました。それでは、今回の認証を振り返っていきたいと思います。

INSIGHT WORKSに認証を依頼した経緯

渡辺:元々、日本の検査機関を利用してPSE認証を行う予定でした。そうしたところ、生産を依頼している台湾工場から、日本の検査機関では我々の希望している期日までに認証が間に合わない可能性が高い、という連絡があったのです。

堀:生産工場の方からPSEに関して連絡があったのですね。すごく優秀な工場ですね。

渡辺:工場はグローバルに展開をしており、日本のPSE取得に経験があったので連絡をいただけました。

渡辺:日本の検査機関では間に合わないかもしれないということで、元々、工場も海外・台湾であれば、必ずしも日本の検査機関を利用しなくても良いのではと思い、海外の検査機関を動かせる代行会社を探していたところINSIGHT WORKSを発見しました。

堀:ありがとうございます。当社では、海外検査機関を利用した際の事例などもホームページに掲載していますので、そちらをご覧頂いたのだと思います。

渡辺:その中で、輪番式電源タップの海外検査機関の事例を見まして、この会社であれば何とかなるだろうと思い、堀さんにご連絡させて頂きました。

堀:渡辺さんからご連絡を頂きまして、急を要するお仕事だということで、速やかに高千穂交易様、台湾工場、当社(+技術者)でのオンラインミーティングをセッティングさせて頂きました。また、今後すべてにおいて特急対応扱いということで進めさせていただきました。

オンラインミーティングの実施

堀:ミーティングでは、渡辺さん以外にも高千穂交易様の皆様が揃われており、今回の認証の背景や、認証のタイムリミットなどをお伺いしました。

渡辺:日程的にかなり厳しいスケジュールだということはわかっていたのですが、そもそもタイムリミットに間に合わないようであれば、認証をしてまで販売する意味が無いと考えている部分もありました。こちらの話を堀さんと技術者の方にお伝えしていたところ、概ねスケジュールには間に合うだろうという回答で、安心いたしました。

堀:「認証がいついつまでに終わっている必要がある」というのも、実は要素はいくつかに分解できます。製品試験がひとまず終わっていれば良いのか、書類確認を含めた認証までが終わっている必要があるのか、認定書が発行されている必要があるのか、など。

堀:渡辺様にそうした点をお伺いしたところ、いついつまでに試験が終わっていれば、その後は確認しながら進めれば良いので大丈夫、というご回答を頂きました。当社としても目標設定が明確になりましたので、そこに向けて認証の段取りを進めてさせて頂くこととしました。

初回オンラインミーティングで商品説明を頂く(左が渡辺様)

台湾工場とのオンラインミーティング

堀:高千穂交易様の皆様との打ち合わせ後に、そのまま台湾工場の方にもミーティングにご参加頂きました。

渡辺:両社間でスケジュール感を共有できたので、あとは台湾工場にそれに合わせて認証に必要な資料やサンプルなどを用意してもらうため、工場担当者にも参加を要請していました。

堀:私が言うのも恐縮ですが、すごく優秀な工場という印象で、こちらから伝えたこともすぐに理解してくれて、またすべてにおいてとても対応が早かったことを覚えています。今回の認証がうまく実施できた本当の立役者は、実は工場担当者だとも個人的には感じています。

渡辺:いえいえ。基本的には貴社のおかげだと思っていますが、工場が良くやってくれたとは私も感じています。

初回オンラインミーティングで台湾工場担当者と技術者の打ち合わせ(左が工場担当者)

認証がスタートしてからと一番の印象に残っていること

渡辺:中国の検査機関で認証がスタートしてからは、当社自体は特段することなく、後は台湾工場とINSIGHT WORKSの技術者の方とのやり取りを見守っているだけでした。

渡辺:ただ、技術者の方が、用意するべき技術資料・サンプルの指示を次々にくれて、台湾工場もそれに従ってどんどん対応してくれていたので、これだったら何とかなるだろうという印象を持っていました。

堀:認証のキーポイントは工場のレスポンス・技術力なので、その点については私も安心してみていました。検査機関による生産工場検査も気づいたら終わっていましたしね笑。

渡辺:そうですね。テンポ良く工程が進み、いつの間にか終わっていたという印象ですね

堀:工場は台湾にありますが、中国検査機関によるリモート試験でスムーズに終えることが出来ました。

渡辺:基本的に、順調だと思っていたPSE認証ですが、自分としては2つの再試験がとても印象的でした。

渡辺:ひとつはスペーシング(=機械内部配線)、もうひとつはアウトレット部品です。

堀:前者は、他国試験では問題にならない部分ですが、日本のPSE試験では検査対象になる部分、後者はUL認定部品が使用されていたのですが、PSE試験ではPSEもしくはCEの認定部品でないと合格になりません。

渡辺:日本の検査機関で試験をしていたら試験不合格になっていたと聞いて、ヒヤッとしました。

渡辺:海外工場で生産しているのだから、当然、海外の考え方で作っているので、そうしたところも日本のPSE基準で検査できました。技術者の方のコンサルティングを頂けて本当に助かりました。

堀:スペーシングに関しては、技術者の方から対策アイデアを出し、工場が即座にサンプルを作ってくれたので、予定より少し遅れる程度で合格できました。

堀:アウトレット部品についても、技術者の方でPSE認定品のサプライヤーを見つけ、それを使用してもらうことで試験にも合格となりました。

渡辺:技術者の手腕によって、一瞬どうなるかと思った製品試験も、当初の予定日より少々遅れる程度で試験が終了し、あとは、認証完了・認定書発行を待つのみとなりました。ホッと安堵したことをよく覚えています。

INSIGHT WORKSの良かった点:きめ細かい連絡、対応の早さ、困ったこともどうにかする技術力

きめ細かい連絡

渡辺:試験が進行するたびに細かくご連絡頂けたことが本当に助かりした。基本的に、試験についてはお任せするしかないのですが、何か問題などがあればすぐに連絡があったので、それで全体のスケジュールを把握しながら、生産体制や日本での販売のことに注力することが出来ました。

堀:どのお客様におかれても、当社の連絡力にはご好評頂いておりますが、日本で検査をしない分、どうしてもお客様には全体の流れが見えづらくなりますので、その点はしっかりとフォローさせて頂きたいと考えています。

堀:こちらとしても、渡辺さんがすぐに毎回お返事頂けていましたので、大変仕事がしやすかったことを記憶しています。当社が目指すところは、お仕事のパートナー的存在です。

対応の早さ

渡辺:これは先ほどと似ていますが、こちらからお願いした確認などはすべてすぐにお返事いただいていましたし、スペーシングの問題の件で、台湾工場と対策を考えるオンラインミーティングの場でも、すぐにセッティングしてくれました。

渡辺:ミーティングなどは一同で時間を合わせる必要があるので、下手をすれば開催まで1週間くらい時間が掛かったりする場合もありますが、打診をしたら1~2日ですぐに対応して頂いて、こういったところでも時間ロスがなかったと感じています。

堀:「認証には時間が掛かる」と一般的なイメージも強いですが、実のところ、認証の正味時間はそれほど多くなく、認証にまつわる関係各位の意思疎通やサンプルの対策などがほとんどであったりするのです。

堀:自分としては、その辺の勘所はわかっているつもりですので、その部分は出来るだけスピードアップして解決するというスタンスです。

渡辺:ご対応のおかげで、台湾工場の作業に出来る限りの時間を充てることが出来たと思っています。

困ったこともどうにかする対応力

渡辺:一つ一つ具体的には言いませんが、検査機関から各試験の不合格を言い渡された際、その度に焦りを感じていました 笑、その全てが技術者の方が考えた対策のおかげでクリアすることが出来ました。

堀:長年やっているベテラン技術者ですので、対策のアイデアリソースは多岐に渡っています。もちろん、対策など必要とせず各試験が一発で合格するのが一番なのですが、100%のPSE知識がない状態で初期設計するのであればそれは難しくもあります。

堀:なので、最初から完璧を目指さずに、ある程度の段階で検査に出して、不合格部分は全力で対策していくというやり方が、実はかなり効率的だったりするのです。また、当社が指定する海外検査機関は、各試験においてすぐに合否を教えてくれますので、当社としても力を発揮しやすくあります。

堀:なお、日本の検査機関は、各試験ではなく全体まとめて回答があるので、都度対策が立てられないので、その点でもスピード感が足りていないと感じています。

渡辺:そういう意味でも、技術者の方のアドバイスは大変有り難かったですし、変な話、当初のままで日本の検査機関は試験をしていたら、とてもスケジュール通りには認証は終わっていなかったと、お話を聞いて感じています。

製品本体

認証終えてからの感想

堀:試験が終わってからですが、検査機関がいろいろもたついており認定書が発行されるまで、少し時間が掛かってしまったのは申し訳ないと感じております。しかし、最終的に製品販売までにすべて間に合ったということで、こちらとしても安堵しています。

渡辺:たしかに、堀さんから試験終了のご連絡を頂いてから、少々時間が掛かっていた印象があり、最後の最後で本当に大丈夫なのか?という不安も正直ありましたが、堀さんから都度ご連絡は頂いていたので、後はお任せして、自分の出来ることに専念しておりました。

堀:(検査機関の)中国人と日本人ではやはり仕事の進め方が違うというか、もちろん良い面も沢山あるのですが、私が言うのもなんですが、根本的に仕事が遅いと感じるところもあります。

渡辺:それでも、INSIGHT WORKSの方で、検査機関に対して仕事を早く進めるようにいろいろ働きかけをしてくれていたとは感じています。いずれにせよ、最終的には、期限に間に合いましたので、対応に大変感謝しています。

堀:そう言っていただけると大変有り難いです。

渡辺:こちらこそ、認証も無事に終わり、当社の予定通りに生産・販売を行うことが出来、順調にビジネスを進められていること大変有り難く感じています。

渡辺:先ほどもお話ししたように、今回日本の検査機関を使っていたら、スケジュール通りに認証が終わっていなかったでしょうから、あの時、貴社にご相談・ご依頼した判断は間違っていなかったと思っています。

堀:当社としても、初の上場企業様のお仕事ということで、様々なことを学ばせていただきました。今回はどうもありがとうございました。貴社の更なるご活躍を祈念しています。

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